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Vol.46:統計でみる高齢者のすがた

総人口に占める高齢者割合は28.1%で過去最高に

総務省統計局では、「敬老の日」(9月17日)にちなんで、統計からみた我が国の65歳以上の高齢者のすがたについて発表しました。
主な内容は、高齢者の人口動態、高齢者の就業、高齢者の家計、国際比較など多岐にわたります。
今回は、このうち医療・ヘルスケアに関わるものをピックアップしてお届けいたします。

■高齢者の人口
総人口が27万人減少する一方、高齢者は44万人増加

まず、総人口については、2011年以降の減少が続き、2018年(9月15日現在推計)は1億2,642万人と、前年(1億2,669万人)と比べて27万人の減少となりました。
一方、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」)人口は、1950年以降一貫して増加し、2012年に3,000万人を突破。今回の推計では3,557万人と、前年と比較すると44万人の増加となっています(図1)。

図1 総人口及び高齢者人口の推移(2000年~2018年)

図1 総人口及び高齢者人口の推移(2000年~2018年)

女性の高齢者人口が初めて2,000万人超え
高齢者人口を男女別にみると、男性は1,545万人、女性は2,012万人で、女性の高齢者人口が初めて2,000万人を超えました。
また、人口性比(女性100人に対する男性の数)をみると、15歳未満では104.9、15~64歳では102.4と男性が多いのに対し、65歳以上では女性が男性より467万人多くなっており、76.8となっています(図2)。

図2 人口性比(女性100人に対する男性の数)

図2 人口性比(女性100人に対する男性の数)

総人口に占める高齢者人口の割合は28.1%と、過去最高
総人口に占める高齢者人口の割合は28.1%で、前年(27.7%)に比べ0.4ポイント増と、過去最高となりました。
男女別にみると、男性は25.1%、女性は31.0%となっており、男性は4人に1人が高齢者となっています。
年齢階級別にみると、70歳以上は2,618万人(総人口の20.7%、前年比0.8ポイント増)で、初めて20%を超えました。これは、いわゆる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)が2017年から70歳を迎え始めたことなどによるものと考えられます。また、75歳以上は1,796万人(同14.2%、0.4ポイント増)、80歳以上は1,104万人(同8.7%、0.2ポイント増)となっています。
総人口に占める高齢者人口の割合は、1950年(4.9%)以降上昇が続いており、1985年に10%、2005年に20%を超え、2018年は28.1%となりました。
この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれています(図3)。

図3 高齢者人口及び割合の推移(1950年~2040年)

図3 高齢者人口及び割合の推移(1950年~2040年)

■国際比較
日本の高齢者人口の割合は、世界で最高

高齢者の総人口に占める割合の推移をみると、各国とも上昇傾向となっています(図4)。
2018年の国別比較では、日本(28.1%)が世界で最も高く、次いでイタリア(23.3%)、ポルトガル(21.9%)、ドイツ(21.7%)などとなっています。
なお、前述のとおり日本の女性の高齢者が初めて2,000万人を超えましたが、女性人口に占める割合(31.0%)は、世界の女性人口に占める割合(9.9%)の3倍以上の高い結果でした。

図4 主要国における高齢者人口の割合の推移(1950年~2065年)

図4 主要国における高齢者人口の割合の推移(1950年~2065年)

■高齢者の家計
保健医療への支出割合が相対的に高い高齢者世帯、ネットショッピングも活用

世帯主が65歳以上である二人以上の世帯(高齢者世帯)について、2017年の消費支出のトップ10項目別構成比を、世帯主が65歳未満の世帯(非高齢者世帯)と比較すると、「保健医療」が1.69倍と最も高くなっています。内訳をみると、「健康保持用摂取品」が2.33倍と高く、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出割合が高いことが特徴です(図5)。

図5 消費支出の構成比(非高齢者世帯に対する倍率、2017年:二人以上の世帯)*数値は65歳以上の世帯のもの

図5 消費支出の構成比(非高齢者世帯に対する倍率、2017年:二人以上の世帯)
*数値は65歳以上の世帯のもの

また、ネットショッピングを利用した高齢者世帯の割合は、2017年は18.2%と、2007年(7.0%)からの10年間で2.6倍となっており(図6)、支出額で最も多かったのは、「旅行関係費」(全支出の25.1%)、次いで「食料」(15.7%)でした。

 図6 高齢者世帯におけるネットショッピングの利用割合の推移(2007年~2017年:二人以上の世帯)


図6 高齢者世帯におけるネットショッピングの利用割合の推移(2007年~2017年:二人以上の世帯)

一方、ネットショッピングで購入した項目別の構成比について、非高齢者世帯と比較してみると、「医薬品・健康食品」が1.64倍と最も高く、次いで「保険」が1.16倍、「食料」が1.14倍で(図7)、相対的に医療や健康の割合が高くなっていることが示されました。
若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、ヘルスケアをはじめとして様々な面で、高齢者でも利用が増えていることがうかがわれる結果です。

図7 ネットショッピングで購入した項目別支出金額の構成比(非高齢者世帯に対する倍率、2017年:二人以上の世帯)

図7 ネットショッピングで購入した項目別支出金額の構成比
(非高齢者世帯に対する倍率、2017年:二人以上の世帯)
*数値は65歳以上の世帯のもの

今回の統計では、人生100年とも言われる時代に向けて、少子高齢化がさらに進展し、高齢者自らがネットなども活用してヘルスケアに取り組む姿も見て取れる結果となりました。
今、ヘルスケア市場は、社会保障費削減や健康寿命の延伸といった社会課題を背景に、国が成長領域と位置付け、異業種からも参入が相次ぎ、活発化しています。
AIをはじめとするテクノロジーやビッグデータの分野では、IT系をはじめとする多様なプレイヤーが、既存の枠を超えるサービスやソリューションを生み出し、ハイスピードで医療・ヘルスケア業界における勢力図を塗り替えようとしています。
そうした世の中の動きにアンテナを高くし、私たち自身も柔軟に変化していくことが求められるようになっているのではないでしょうか。

出典:統計トピックスNo.113 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-(総務省統計局)

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