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Vol.47:インフルエンザの予防について

日に日に寒くなり、インフルエンザの発生が各地で報告されてきています。
皆さん、インフルエンザの予防接種はお済みでしょうか?今シーズンは早くも流行の兆しが見え始め、10月末時点で学級・学年閉鎖になった件数は、累計で100件を超えたとの報道もされています。厚生労働省でも11月8日に専用ホームページ「今冬のインフルエンザ総合対策」を開設し、うがい・手洗いといった基本対策とともに、インフルエンザワクチンの予防接種等に関する情報提供を行っています。毎年のことですが、インフルエンザワクチンについて分からないことがありながらも、周りの勧めで接種を受けているという方も多いのではないでしょうか。今回は、インフルエンザの予防、特にインフルエンザワクチンについて取り上げます。ワクチンについて理解を深め、日々の活動や皆さんの健康管理の一助としていただけましたら幸いです。

1.インフルエンザウイルスについて
まずは、インフルエンザウイルスについておさらいしておきます。
流行が周期的に現われてくるところから、16世紀のイタリアの占星家たちはインフルエンザを星や寒気の影響(influence)によるものと考えました。これがインフルエンザの語源であると言われています。
インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。A型とB型ウイルスの粒子表面には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、これらが感染防御免疫の標的抗原(異物の表面に存在し、抗体が異物と認識して破壊するための標的となるもの)となっています。特にA型は、HAで16種類、NAで9種類の抗原性の異なる亜型が存在し、これらの様々な組み合わせ(H1N1やH3N2など)を持つウイルスが、ヒト以外にもブタやトリなど、他の宿主に広く分布しています。
このHAとNAは同じ型の中で頻繁に抗原性を変化させるため、毎年のように流行を繰り返しています。これを連続抗原変異といいます。以前にA型のインフルエンザに感染した人でも再び同じA型のインフルエンザに感染してしまうことがあるのはこのためです。また、数十年単位でヒト以外に感染するウイルスがヒトへの感染性を獲得し世界規模の大流行(パンデミック)をきたすことがあります。これを不連続抗原変異といい、近年では2009年のブタ由来の新型インフルエンザA(H1N1)によるパンデミックが知られています。新たに出現したインフルエンザに対して人間は免疫を持っていないため、次々と感染が拡大しました。他には、1918年のスペイン風邪(H1N1)や1957年のアジア風邪(H2N2)、1968年の香港風邪(H3N2)が世界中で猛威を振るいました。このため、インフルエンザは、いまだ人類に残されている最大級の疫病とも言われています。

2.インフルエンザの予防
インフルエンザの予防には、まず、①十分な栄養と休養、②適度な温度と湿度、③手洗いうがい、④人込みを避ける、⑤マスクを着用するなどがあげられますが、さらに確実な予防法としてワクチン接種が重要です。インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。(厚生労働省ホームページより)
今シーズンのワクチン株は以下のとおりです。
2018/2019冬シーズンワクチン株
① A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015 (IVR-180) (H1N1)pdm09
② A/Singapore(シンガポール)/INFIMH-16-0019/2016 (IVR-186) (H3N2)
③ B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
④ B/Maryland(メリーランド)/15/2016 (NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)

①は2009年に大流行した新型インフルエンザA(H1N1)、②はA香港型(N3N2)、③と④はB型のインフルエンザです。毎年、厚生労働省にて国内ウイルス株の抗原分析・遺伝子解析の結果や、WHOの検討会議の結果などをもとにワクチン株を決定しているとのことです。(国立感染症研究所ホームページより)
厚労省では、
・今年度のインフルエンザワクチンの供給予定量は約2650万本(11月22日更新情報では2720万本)で、2017年度の推計使用量2491万本を上回る見通しであること
・安定したワクチン供給を続けるために、17年度に引き続き13歳以上の任意接種については原則として1回接種とすること
・これらにより例年のワクチン使用量と照らし合わせて不足は生じない見通しであること
を発表しており、国民が安心してワクチン接種を受けられるよう官民一体となって計画的な製造・供給が行われています。

上述の厚生労働省の専用ページでは、他にもインフルエンザ重症化のハイリスク群である高齢者のワクチン接種についての情報や、将来的に発生が懸念されている鳥インフルエンザが人に感染するようになった新型ウイルスによるパンデミックを防ぐための対策などの情報も掲載されています。
担当先の医療者の方々とのコミュニケーションにも役立つのではないかと思いますので、ぜひチェックしてみてください。
ワクチンの普及によって撲滅されたり、脅威でなくなったりした感染症が数多くある一方で、インフルエンザはいまだ私たちを脅かす存在であり続けていますが、さまざまな情報を有効に活用することで、この脅威に対応していくことが大切ですね。

参考サイト
厚生労働省 専用ホームページ「今冬のインフルエンザ総合対策」
厚生労働省 季節性インフルエンザワクチンの供給について(11月22日情報更新)
NIID 国立感染症研究所

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