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Vol.50:「わが国のCSO事業に関する実態調査 2019年度版」にみるCSO活用動向

日本CSO協会では毎年、わが国の稼動コントラクトMR数*1やCSO活用企業数など、医薬品等のマーケティング・販売に係る事業実態を調査し、CSOならびにコントラクトMR等の更なる価値向上を図るとともに、CSO事業の健全な発展を推進するための基礎資料として発表しています。
本号では、7月のプレスリリースおよび協会ウェブサイトでの概要発表について、現在CSOがどのような目的、疾患領域で活用されているのか等、その詳細をご紹介させていただきます。

*1 MR業務に従事する者のほか、医療機器担当者やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン*2)、エデュケーショナル・ナース*3 等を含む
*2 各疾患領域で中心的役割をもつKOL(キーオピニオンリーダー)医師等に対し、医学的・科学的見地から情報活動を推進
*3 臨床経験のある看護師が、Peer to peer(専門家同士)で実践的に治療アウトカム向上を支援

 

調査の概要

調 査 名:「わが国のCSO事業に関する実態調査」
調査時期:2009年~2019年における10月1日時点(年次調査)
調査対象:日本CSO協会に所属するCSO企業6社
調査事項:CSO事業の動向、CSO企業およびコントラクトMRの状況
     ・CSO市場規模の推移(コントラクトMR数、CSO活用企業数)
     ・導入目的別、疾患領域別にみたコントラクトMRの活用動向
     ・経験者、異業種出身者別にみたコントラクトMR数の推移 ほか
 

国内CSO市場規模の推移(稼動コントラクトMR数、CSO活用企業数)
2019年10月時点の稼動コントラクトMR数は、前年比10.8%増の3,445人
活用企業数は130社で、前年につづき過去最多

ここ数年、薬価制度抜本改革等を背景として全MR数が減少傾向にあるなか、CSOの活用も調整局面となっているが、2019年度は、3,445人と再び増加基調に転じた。
新薬需要や製薬各社の営業・マーケティング体制の最適化、さらに人件費の変動化等の動きが活発化し、全MRに占めるコントラクトMR比率も5.8%(0.8ポイント増)となった。

また、CSO活用企業数は、前年に続き過去最多の130社で推移した。製薬企業だけでなく、医療機器企業や医療機関などでの活用が広がっている。医療機関(病医院、薬局)において、コンサルタントのような役割で、コントラクトMR経験者を活用する動きも見られている。

*1 MR業務に従事する者のほか、医療機器担当者やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、エデュケーショナルナース等を含む。 
  2009~2011年については、受注ベースの人数から実稼働数を算出
*2 全MR数は、MR認定センターによる「MR白書」の2008~2018年度データ(各翌年3月31日付調査)に基づく

 

目的別にみた活用コントラクトMR
顧客企業の戦略・ニーズに伴い、活用目的が多様化している

CSO活用目的は、「欠員補充」が68.7%、「主力品強化」が61.5%となり、CSO活用の主要目的として例年通り高い割合を示している。
次いで「エリア強化」「新薬上市」の順となり、地域密着型への対応や新製品導入に対するCSOの活用姿勢が見て取れる。

また、以下、「社員化」「産休対応」など即戦力人材の採用やダイバーシティの推進に伴う活用、「長期収載品強化」「後発品普及」「調剤薬局強化」などエスタブリッシュ品やジェネリック品における活用、またMR業務以外の活用など、CSOに対して多様なニーズの拡がりが示されている。

*1 MR業務に従事する者のほか、医療機器担当者やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、エデュケーショナル・ナース等を含む。
  2009~2011年のコントラクトMR数は、受注ベースの人数から実稼働数を算出
*2 年平均成長率は2010~2019年度のデータから算出
*3 年平均成長率は2011~2019年度のデータから算出
*4 2018年度より項目追加

 

領域別にみた活用コントラクトMR数
プライマリケア領域をベースに、スペシャルティ領域にも拡がり

トップ3は昨年に続き、「循環器・脂質異常症」「糖尿病」「中枢神経系」となった。
「がん」は昨年の14.7%から21.3%に比率が上がり、年平均成長率からも、各社の戦略領域がスペシャルティ領域へシフトしていることを示す結果となっている。

割合は少ないものの「ワクチン」「医療機器」「造影剤・診断薬」「プロバイダーモデル(病医院や薬局等の医療機関)向けサービス」「OTC」など、新たなフィールドで活躍する人材も増加している。

*1 MR業務に従事する者のほか、医療機器担当者やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、エデュケーショナル・ナース等を含む。
  2009~2011年のコントラクトMR数は、受注ベースの人数から実稼働数を算出
*2 年平均成長率は2015~2019年度のデータから算出(2015年度より、「医療機器等」を「医療機器」と「その他」に切り分けた)
*3 2018年度より、「その他」を「造影剤・診断薬」、「OTC」、「プロバイダー向け」、「その他」に切り分けた

 

コントラクトMRのスペシャルティ領域の経験者比率(中枢神経系・がん)
近年の新薬パイプラインのスペシャルティ領域へのシフトに伴い、領域経験者が増加

MR経験1年以上のコントラクトMRのうち、中枢神経系領域の経験者は34.0%で、トップ3はパーキンソン病、気分障害(うつ病)・不安障害、睡眠障害であった。

また、がん領域の経験者の割合は29.0%で、トップ3は乳がん、大腸がん、血液がんであった。

*1 CSO協会加盟6社における2019年10月1日時点在籍MRを対象にアンケート調査を実施
*2 1年以上のMR経験を有する回答者(3,039人)のうち、中枢神経系およびがん領域で1年以上の実務経験を有する者を集計(前職での経験も含む)

 

主要諸国のアウトソーシング率と日本のサービスの拡がり
欧米同様、多様なサービスが進展

世界的に医療・ヘルスケアを取り巻く環境が変化するなか、欧米諸国では、事業環境の不確実性に対応し、経営の柔軟性を高めるアプローチとして、CSO活用率(アウトソーシング率)は10%超に至っている。

日本でも、CSOの活用方法はより戦略的なものへ進展し、MSLやエデュケーショナルナースなどの専門職、地域包括ケアシステムの推進を支援する職種など、MR以外の新たな担い手も登場。

特定の製品や疾患領域、エリアなどを包括的に受託するCSOマネジメント型サービスをはじめ、営業・マーケティングからメディカル領域にわたり多様なサービスが展開されており、将来的には国内CSO市場もその在り方や活用率等において、欧米に近い形へ推移していくことが見込まれる。

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