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Vol.10:CSO市場動向(後編):CSOが人材流動化の調整弁に

今回は、前号につづき、『わが国のCSO事業に関する実態調査-2012年版-』について考察します。

本調査を開始した2009年から2012年において、コントラクトMR数は毎年増加し、年間平均成長率は23.9%となっております*1。調査時期が半年ほど異なりますが、製薬業界全体の直近3カ年における成長率が3.03%*2ですので、非常に大きな伸びであることが分かります。
*1:2009年から2012年における10月1日時点
*2:2009年から2012年における3月31日時点、MR認定センター『2012年版MR白書』


*MR業務に従事する者のほか、医療機器担当者やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、エデュケーショナル・ナース等を含む
2009年~2011年のコントラクトMR数は、受注ベースの人数から実稼働数を算出
**日本CSO協会調査に基づくCSO活用企業各社のMR数

その背景として、CSOの戦略的な活用が進展し、市場の伸びが加速されていることは前回も触れておりますが、2011年までの3年間と、2011年から2012年までの1年は、この増加の内容が少し異なっています。

2012年度の特徴の一つに、MR数1,000人~1,500人未満の企業群でCSO活用が活発化した点が挙げられます。同群における活用コントラクトMR数は、2011年度の681人から1,092人へと大幅に増加し、初の1,000人超えとなりました。

一方、日本でCSOが始まって以来、CSO市場の成長ドライバーとなってきたMR数1,500人以上の大手企業群では、調査開始から初めて活用コントラクトMR数がマイナスに転じ、2011年度の1,296人に対し、12年度は1,262名で微減となりました。

結果として、1社あたりの平均活用コントラクトMR数は、1,000人~1,500人未満の企業群が大手企業群を上回り、両者の活用規模が逆転するという現象が生じることに。 MR数が多く、営業体制が充実している大手企業から準大手企業へと、いわば“企業間のMRリソースの移動(最適化)”が行われる状況となったのです。

これは、大手セグメントにおいてCSOの機動的かつ戦略的な活用が浸透し、新薬の有無や製品ライフサイクル、営業戦略の見直し等に応じて、必要な時にプロジェクトを立ち上げ、目的を果たしたら解散するという柔軟でダイナミックな使い方が進展していることによります。2012年は、大規模プロジェクトの終了により一時的な減少をみたものの、再び増加することが予測されています。


*MR業務に従事する者のほか、医療機器担当者やMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)、エデュケーショナル・ナース等を含む
2009年~2011年のコントラクトMR数は、受注ベースの人数から実稼働数を算出
**日本CSO協会調査に基づくCSO活用企業各社のMR数

安倍政権は、成長戦略に労働移動を促す政策を盛り込み、従来の雇用維持重視から、雇用の流動化を促進する姿勢を鮮明にする見通しです。 3月15日、4月23日に首相官邸で開かれた産業競争力会議では、民間議員である経済同友会の長谷川閑史代表幹事(武田薬品工業社長)が「人材力強化・雇用制度改革」と題した提言を提出。事業環境の変化に対応するため、労働移動を促す制度の必要性が議論され、この問題に経営者が高い関心を寄せていることがうかがわれる一方、不当な解雇への懸念も指摘されていることが取りざたされています。

製薬企業を取り巻く環境変化にともなう大きな効率化の動きのなか、解雇や失業をともなわないフレキシブルで円滑な労働移動という観点からも、CSOにその調整弁としての役割が期待されています。

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