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Vol.24:「NDBオープンデータ」

皆さん、こんにちは。特派員H.T.です。
2016年10月12日に、厚生労働省がレセプト情報・特定健診等情報データベース(通称:NDB)のオープンデータを公開しました (URL: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)。

NDBオープンデータの公開と同時に、医療に関わる多数のステークホルダーが公開データを基に様々な分析に取り掛かったり、新たなサービスを開発・提供するなどが起きています。そこで今回は、このNDBオープンデータの内容や私たち製薬業界に及ぼすと考えられる影響などについて皆さんと一緒に見ていきましょう。

NDBオープンデータが公開された目的は、
1) 多くの人々がNDBデータに基づいた保健医療に関する知見に接することが出来るよう、NDBデータを用いて基礎的な集計表を作成した上で公表する、2) NDBデータに基づき、医療の提供実態や特定健診等の結果をわかりやすく示すことです。

今回公表されたデータの対象・項目は、下記の通りです。
公表データ
 ①医科診療報酬点数表項目
 ②歯科傷病
 ③特定健診集計結果
 ④薬剤データ
対象期間とデータ件数
 ①②④:平成26年4月~平成27年3月診療分の約18億800万件(レセプトデータ)
 ③:平成25年度実施分の約2,600万件(特定健診データ)

薬剤データでは「内服」「外用」「注射」それぞれにつき、「外来院内」「外来院外」「入院」ごと、性・年齢別(5才刻み)および都道府県別に、薬効分類ごとの数量の集計表として公開されています。

NDBオープンデータは、私たち製薬業界で活用しているIMS社のデータなどと比べると、更新頻度や集計時の地域セグメントの細かさ等では使い勝手で劣っているかもしれません。しかし、このデータを都道府県の医療政策担当者や医療機関、後発医薬品企業等が無料で入手できることを考えますと、様々な脅威が予想されます。

医療政策担当者がNDBオープンデータを利用すれば、おのずと自分の県と他の都道府県での検査状況や医薬品の購入額、使用量に目が行きます。そして、他の地域と比較することで医薬品の購入額や使用量を見直すよう取り組むことが考えられます。今後は医薬品の採用品目を絞ったり、採用品目のリスト化(フォーミュラリー作成)を進めることもあり得るでしょう。また、現在策定中の地域医療構想で分析している当該地域の将来の人口の推移等と組み合わせて分析することもできます。

後発医薬品企業では、これまでIMS社のデータを活用していない企業が多かったと聞いています。NDBオープンデータは都道府県毎の後発医薬品のブランド名や有効成分の規格まで明らかになっています。そこで、自社が負けている都道府県では、更なる市場シェア獲得の手立てを講じていくことでしょう。

今回はNDBオープンデータの薬剤データのみ紹介いたしましたが、医療機関側では診療データの分析が進んでいるようです。これらの分析から、不要な検査や薬剤の削減もあり得るでしょう。

このようにNDBオープンデータは様々な方面に大きな影響を及ぼすと考えられます。私たちMRも、このデータが担当地域でどのように活用されていくのか、しっかり確認しておく必要がありそうですね。

執筆:日本CSO協会 特派員H.T.

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