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Vol.25:「プレシジョン・メディシン」

皆さん、こんにちは。特派員H.T.です。
先日2016年11月20日に、日本放送協会(NHK)がプレシジョン・メディシンの特集を放送しました(番組名:NHKスペシャル “がん治療革命”が始まった ~プレシジョン・メディシンの衝撃~ 番組ホームページ:http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161120)。

この特集では、主にがん治療のプレシジョン・メディシンについて解説されていました。ご覧になっていない方のために、改めてプレシジョン・メディシンについて紹介しましょう。

プレシジョン・メディシンとは、「各個人の遺伝子・環境・ライフスタイルを考慮して予防法・治療法を確立する」医療です。これまでの平均的な患者向けにデザインされた治療を行う医療と異なり、ゲノム情報に基づいた個別化医療を意味します。

先述のNHKの特集では、がん患者さんの遺伝子多型を分析し、効果が期待できる抗がん剤の有無を調べ、その患者さんに最適な抗がん剤を投与している現場を報じていました。番組のがん患者さんは、従来の手法では十分な治療効果が望めませんでした。しかし、この方法によって効率良く治療法を選択でき、腫瘍も大幅に縮小するなど、患者さんにとって多大なベネフィットが顕著に表れていました。

このプレシジョン・メディシンの実践によって、例えばがん患者さんの効果と安全性を最大化したり、効果が期待できない抗がん剤は投与しないなど、治療の意思決定が大きく変わることが示唆されていました。すなわち、患者さんの「疾患で薬剤を決める」時代から「遺伝子で薬剤を決める」時代に突入したということです。

プレシジョン・メディシンは、2015年1月にオバマ米国大統領が一般教書演説の中で、「プレシジョン・メディシン・イニシアティブ」を発表したことから広く知られました。米国も日本同様、増え続ける医療費をいかに抑制するかという財務の問題も抱えています。この問題を解決するために、米国では患者さん毎に最適でコスト効果も高い薬剤を選択するプレシジョン・メディシンが臨床現場で実践されています。

日本国内でも、国立がん研究センターなどでプレシジョン・メディシンの取り組みが始まっています。特にがん領域では、この傾向はますます強まっていくでしょう。

抗がん剤の場合、奏効率が30%だとすると、残りの70%はその抗がん剤が効かなかった患者さんであり、効かなかった抗がん剤は医療費の無駄であるというのが、現在の厚生労働省や経済産業省の見解です。日本も財政が苦しいですから、無駄を一層省くという意味でも、プレシジョン・メディシンの考え方は浸透していくことが予想されます。

「遺伝子を調べ、どのような抗がん剤なら治療効果と安全性を最大化できるか?」を検討するプレシジョン・メディシンでは、従来のようなプロモーションでは医療者が納得するMR活動ができないと考えられます。

すなわち、自社の抗がん剤が使える患者さんの有無を確認し、処方依頼するMR活動はまもなく終わるということですね。

執筆:日本CSO協会 特派員H.T.

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