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Vol.29:「最適使用推進ガイドライン」

皆さん、こんにちは。特派員H.T.です。
医薬業界では昨年から「最適使用推進ガイドライン」が話題になっていますね。そこで今回は、「最適使用推進ガイドライン」を取り上げます。

近年、抗体医薬品など新規作用機序の医薬品が次々に登場していますが、高い治療効果が期待される一方で、薬価が極めて高額であることから医療保険財政への影響が懸念されています。そのため、厚生労働省は薬価制度改革に向けた検討と並行して、これらの医薬品を真に必要とする患者さんに提供するための「最適使用推進ガイドライン」を薬剤・疾患別に作成しています。

「最適使用推進ガイドライン」では、新規作用機序の医薬品及びその類薬の適正使用のために、① 対象医薬品の使用が最適だと考えられる患者さんの選択基準、② 対象医薬品を適切に使用できる医師・医療機関等の要件を規定しています。

2017年2月には、抗PD-1抗体製剤のオプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムプロリズマブ)を非小細胞肺癌/悪性黒色腫、3月にはオプジーボの頭頸部癌の治療に用いる際の最適使用推進ガイドラインがそれぞれ公表されています。また現在は、抗PCSK9抗体製剤のレパーサ(エボロクマブ)およびプラルエント(アリロクマブ)のガイドライン作成も進められています。

例えば、オプジーボの最適使用推進ガイドライン(非小細胞肺癌)では上記①についての基準をより明確にするとともに、②についても厳密な要件を規定しています。施設要件として、がん診療連携拠点病院や特定機能病院など5つの条件のほか、5年以上のがん治療臨床研修(うち2年以上は薬物療法を主とした臨床腫瘍学)または、4年以上の臨床経験(うち3年以上は肺癌薬物療法の臨床研修)を有する医師が配置されていること、とされています。
※最適使用推進ガイドラインの詳細は下記よりご確認いただけます。
オプジーボ  : 非小細胞肺癌 / 悪性黒色腫 / 頭頸部癌
キイトルーダ : 非小細胞肺癌 / 悪性黒色腫

MR活動においては下記のような影響が出ることが考えられます。
・処方対象となる患者さんの規定が、各学会による治療ガイドラインと異なるケースもあるため、整理した上で医師や薬剤師の確認を得る必要が生じる。
・最適な処方ができる医師や医療機関がガイドラインで規定されるため、それ以外へのプロモーションが制限される可能性がある。

「最適使用推進ガイドライン」は、承認審査や保険収載の過程の中での活用が検討されているほか、使用実態について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療情報データベース「MID-NET」(2018年度より本格稼動を予定)で共有されることも検討されています。

執筆:日本CSO協会 特派員H.T.

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