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Vol.34:「付加給付」

日本CSO協会のWebサイトにご来訪いただき、ありがとうございます。
今月はY.T.が「付加給付」についてお伝えします。

健康保険では、被保険者や被扶養者が業務外のことで病気やけがをしたり、出産、死亡したりしたとき、医療や各種の給付金を支給しています。これを保険給付といいます。

保険給付には、健康保険法で定められている「法定給付」と、健康保険組合(以下「健保組合」)が独自に行う給付で法定給付に上積みして支給する「付加給付」があります。今回は高額療養費を例に見てみましょう。

月初から月末までの同一月で保険適用となる医療費の自己負担額が高額になった場合、被保険者の年齢・所得により区分された一定基準額を超えた分は法定給付である「高額療養費」として支給されます。

例えば、70歳未満、標準報酬月額が28万~50万円、自己負担割合3割の方が胃癌と診断され、1ヶ月の総医療費が100万円かかったとします。窓口負担額は3割なので30万円です。この方の場合、自己負担限度額の計算方法は「8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%」ですので、30万円のうち、自己負担限度額の8万7,430円を超えた21万2,570円が高額療養費として払い戻しされます。

何十万円という費用負担をしなくても良いという点で高額療養費はありがたいですが、自己負担額が8万7,430円というのは、依然として負担感が残る方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そのような時に思い出して欲しいのが「付加給付」の存在です。

MRテキストで習ったことを覚えていらっしゃる皆さんも多いと思いますが、医療保険には健康保険のような「職域保険」と国民健康保険のような「地域保険」がありましたよね。

「職域保険」である健康保険には、法定給付のほかに健保組合の財政に応じて独自に行う「付加給付」が認められております。高額療養費の付加給付は、同一月で保険適用分の自己負担額(高額療養費がある場合はそれを控除した残額)が被保険者の標準報酬月額によって区分された自己負担限度額を超えた場合、「一部負担還元金」として支給されます。

ある健保組合の付加給付の支給例を先ほどの例に当てはめてみましょう。

この健保組合では、標準月額報酬が28万~50万円の被保険者の自己負担限度額を3万5,000円に定めています。高額療養費の自己負担額は8万7,430円でしたので、3万5,000円を超えた5万2,000円(1,000円未満は切捨て)が付加給付として還付されます。その結果、窓口負担額の30万円のうち、高額療養費21万2,570円と付加給付5万2,000円の合計26万4,570円が健保組合から支給されますので、最終的な自己負担額は3万5,430円になります。

付加給付についてどう思われたでしょうか?負担感が大幅に軽減されたと思われたのではないでしょうか?

高額な医薬品を扱う場合、患者さんの経済的負担まで、一歩踏み込んだ情報提供が必要になる場面もありますよね。そのような時に患者さんの加入されている保険が「職域保険」か「地域保険」かを確認する事で、患者さんの立場に立った情報提供活動につながり、医師からの評価が高まるかもしれませんよ。

注 厚生労働省 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
URL:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000075123.pdf

執筆:日本CSO協会 Y.T.

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