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Vol.40:「薬価制度改革」

日本CSO協会のWebサイトへご来訪いただき、ありがとうございます。
今月はT.K.が「薬価制度改革」についてお伝えいたします。

中央社会保険医療協議会(中医協)、薬価制度の抜本改革を了承

12月20日に開催された中医協・総会において、薬価制度の抜本改革の骨子が了承されました。11月22日に提示された骨子案から、新薬創出加算の要件に若干の修正が行われましたが、大きな変更はなく、平成30年度はこの骨子に沿った薬価改定が実施されることとなります。
業界にとって最大の関心事である新薬創出加算制度ですが、平成28年度に加算を獲得したのは約90社に対し、骨子案で示された要件では対象企業は4社以下と大幅に絞り込まれました。修正案では15~20社に対象企業が広がる見通しですが、それでも対象企業は現状の2割程度と厳しい条件となっています。また、平均乖離率よりも高い価格で販売しても、薬価が維持されなくなるため、販売戦略の見直しが必須となってきます。

薬価制度の抜本改革の要点

・効能追加等により、市場が拡大した場合の対応
効能追加等があった医薬品は全て、NDB(ナショナルデータベース)により使用量を把握し、市場規模が350億円を超えたものは、年4回の新薬の保険収載の機会に市場拡大再算定のルールに従い、速やかに薬価を改定する。

・毎年薬価調査、毎年薬価改定
 市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するため、2年に1度の薬価改定の間の年度(薬価改定年度) において、全ての医薬品卸から、大手事業者を含め調査対象を抽出し、全品目の薬価調査を実施し、結果に基づき薬価を改定する。薬価調査については、平成30年度(2018 年度)に行う調査から、購入側の調査において、購入先卸の名称を記載し、販売側の調査との突き合わせを行いデータの検証を行う仕組みを導入し、正確性の確保と効率化を図る。

・新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度(新薬創出加算制度)の抜本的見直し
 未承認薬・適応外薬の承認増加やドラッグ・ラグの解消等の成果を挙げてきたが、革新性の低い品目も加算対象となっている等の課題が指摘されており、革新的新薬の創出を促進するための効率的・効果的な仕組みへと抜本的に見直す。対象品目は、医薬品そのものの革新性・有用性に着目して判断する仕組みとすることで、革新性・有用性が認められない品目が対象外となる一方、平均乖離率を上回っている医薬品であっても、特段の革新性・有用性が認められるものは、対象に加える。未承認薬・適応外薬の解消に取り組むため、①国からの開発要請に適切に対応すること(企業要件)、②革新的新薬の開発やドラッグ・ラグ解消の実績・取り組み-の2つを指標とし、指標の達成度に応じて、加算額を段階的に設定する。

・新薬のイノベーション評価の見直し
 類似薬のない新薬の評価のあり方を見直し、原価計算方式で算定された医薬品のうち、製造原価の内訳の開示度が高いものは、薬価の加算額の引き上げ等を行う。

・長期収載品の薬価見直し
 長期収載品依存から、より高い創薬力を持つものへと転換する観点から、後発品上市後 10年を経過した長期収載品の薬価について、後発品の薬価を基準に段階的に引き下げる。従来実施してきた、一定期間を経ても後発医薬品への適切な置き換えが図られていない場合の「特例的な引き下げ」(Z2ルール)を継続し、対象となる後発医薬品の置換率基準を変更する。

・後発品の価格帯集約
 現行、後発品の価格帯は3つに集約されているが、長期収載品の薬価の見直しに伴い、上市から 12 年が経過した後発品については1価格帯を原則とする。当初先発品の0.5倍で収載されたAG(オーソライズドジェネリック)の実勢価改定価格が、遅れて先発品の0.4倍で収載され、販売実績がない後発品のみからなる価格帯に入る場合、AGの薬価を遅れて収載された後発品の実勢価改定の価格に集約させる。バイオシミラーの初収載の薬価は、開発インセンティブを損なわないためにも、現行制度を維持する。

・基礎的医薬品等の対象拡大
 不採算になる前に薬価を下支えする基礎的医薬品の対象に、生薬や軟膏基剤、歯科用局所麻酔剤等を追加する等の必要な対応を行う。

・外国平均価格調整の見直し
 現在、新薬の薬価算定の際、米・英・独・仏の4か国の医薬品価格を参照して薬価を調整しているが、米国の現在参照している価格リスト(Red Book:メーカー希望小売価格)は参照しないこととし、米国の公的制度(メディケア・メディケイド)で用いられている価格リストを参照する。

いかがでしたでしょうか。上記は今回の改定の一部ですので、詳細をご覧になりたい方は厚労省のHPをご参照ください。

中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第143回) 議事次第
平成29年12月20日
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188565.html

執筆:日本CSO協会 T.K.

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