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Vol.43:決算書の見方~基本的な考え方~

毎年、4月から5月にかけて主な国内製薬メーカー各社から決算発表がされます。
決算書を見たことがない、という方は少ないと思いますが、見てもよく分からない、数字の羅列に見えて苦手という方も多いのではないでしょうか。

今回はその決算書を読み解く…とすると、複数の本ができるほど長くなりますので、まずはざっくりとしたイメージを持っていただくことで、自社や業界、また得意先の経営状態を理解する一助となればと思います。
(ですので、基本中の基本の部分を取り上げます。)

決算書の中でも、特に押さえておきたいのは財務三表といわれるものです。
1.損益計算書(PL:Profit and Loss statement)
2.貸借対照表(BS:Balance Sheet)
3.キャッシュフロー計算書(CF:Cash Flow)

1.損益計算書(PL)
基本的なしくみは、<稼ぎ-コスト=儲け>で、1年間の売上からコストを差し引き、どれだけ利益が出たかを示すものです。1年間の活動結果を表し、その会社の成績表ともいわれます。
損益計算書に示される5つの利益のなかでも、特に大切なのが「経常利益」。この数値は経常的な営業活動と財務活動を通じて、会社がどのくらい儲かっているのかを示しています。

また、製薬業界の特徴として、販売費及び一般管理費のところに研究開発費(R&D)が計上されていることが見受けられます。この数字が大きくなればなるほど、新薬の開発力が高いことは言わずもがなです。

2.貸借対照表(BS)
決算日における会社の財政状態について、どこからお金を調達し、何に使ったかを表したもの。個人に置き換えると、借金したり(他人資本)働いたり(自己資本)して得たお金(総資本)を、どう使ったか(モノを買ったのか貯金したのかなど)を表したものとなります。
また、資産、負債については、1年以内に現金化できるかどうか、または返済・支払期限が来るかどうかで「流動」と「固定」に分け、5つの箱で見ます。

貸借対照表では、経営の安定性を示す「自己資本比率」に注目します。
自己資本比率=自己資本(返済不要の資本)÷総資本(自己資本+他人資本)

一般的に倒産しにくい会社の目安は、自己資本比率40%以上といわれ、TKC経営指標のデータによると黒字企業で27%、赤字企業で-4%とされています。

3.キャッシュフロー計算書(CF)
会社の1年間の現金(キャッシュ)の出入りを3つに分類して表したもので、家計簿によく似ています。期首にいくらのキャッシュがあって、期末にいくらのキャッシュが残っているか(残高)を示しています。
CFでは、下記の3つのバランスを見ます。
・営業活動によるキャッシュフロー
 本業である企業活動による現金の増減。通常はプラスになる。
・投資活動によるキャッシュフロー
 投資による現金の増減。積極的に投資を行っている場合はマイナスになる。
・財務活動によるキャッシュフロー
 借入や返済による現金の増減。資金調達が多いとプラスに、借入金返済、社債の返還等が多いとマイナスになる。

商品やサービスの提供と、その売上代金の回収には時間差があります。つまり、どんなにたくさん売上をあげても、その回収に時間がかかって手元のキャッシュが増えなければ、商品の仕入代金の支払いや、借金の返済が滞り、さらに資金を借り入れなくてはならず、会社の資金繰りは苦しくなってしまいます。
キャッシュフロー計算書からはこのような危険を読み取ることが可能です。

この財務3表を関連付けるとこのようになります。それぞれの役割は異なりますが、記載される数値は互いに連動するため、これらを全体的にみることで会社が儲かっているかどうか、成長性がどうかなどを、より的確に判断することが可能になります。

出典:「財務3表一体理解法」、朝日新書、國貞 克則 著

出典:「財務3表一体理解法」、朝日新書、國貞 克則 著

ここに記したものは、ほんのさわり程度ですが、日々の活動はもとより、今後のキャリアを考えるときや、将来の資産形成を考えるときにもお役立ていただけるかと思います。
ぜひ、気になる企業のIR情報(Investor Relations, 投資家情報)をチェックしてみてください。

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